養殖ブリの成長の流れ
Burioh Brand
稚魚とり
❶ ブリの稚魚「モジャコ」は毎年5月頃になると行われます。東シナ海や太平洋で採捕されます。
餌付け
❷ 主に女性の手で餌付けは行われます。(男性は二年魚の給餌やモジャコ採捕に出ているため)
一年魚
❸ 一年魚は成長するに従って餌の摂取量が増大し、餌の種類や生け簀の網が変わっていきます。
二年魚〜三年魚
❹ 病気に強くなり、よく成長しますが、餌の量や環境に慎重になります。体重は4kg以上になり、出荷開始となります。
水揚げ・活き締め
❺ 東町漁協では早朝の取網で水揚げし、即時活き締めがされます。船槽の水氷にて冷却・脱血されることで鮮度が保たれます。
陸揚げ・出荷
❻ 東町漁協の薄井漁港内の荷捌き施設にて、すべての魚が一元集荷されます。仕分けが行われた後、冷却処理がなされます。
イラストで知る養殖ブリの成長
稚 魚 と り
ブリの稚魚「モジャコ」は、毎年5月頃に東シナ海や太平洋で採捕します。ブリは1gにも満たない稚魚から、5~6kgの親魚に育てるまでに三年の月日を要します。
東町漁協では、不漁による安定供給への不安解消や早期採卵による出荷魚体サイズの優位性を保つこと・稚魚トレースの確保やSDGsの14番目の目標である「海の豊かさを守ろう」などを目的に、早期出荷魚を中心に一部人工種苗を導入しています。
- モ ジ ャ コ
- 「人工種苗」は種苗生産技術が未開発のため、すべての天然魚が依存しています。漁では一喜一憂となります。
- 場 所
- 主な漁場は、甑島周辺から東シナ海域です。種子島、屋久島近海でも採れますが、漁場の水温が高すぎて東町の養殖場との水温差が大きく、魚には良くないことが多いです。
- 許 可 方 法
- モジャコは特別採捕許可が必要なため、みだりに採ることは禁止されています。国内での生産計画は水産庁で決まり、各県に割り当てられています。県が各漁協を割り当て、漁協は割り当てられた数によって採捕船の数を決めます。
- 採 捕 方 法
- モジャコは、流れ藻の下に集まっているので、約5mmの目合いの網で藻とともにすくい採ります。
- 採 捕 者
- 採捕は専門の業者が採る場合と、養殖業者が自らで採りに行く場合とがあります。どちらも採捕された魚は、組合の検量が必要です。採捕船には、男性が3、4人のチームを編成し、乗り込みます。
- 採 捕 時 期
- 例年、4月から5月となります。県の試験操業調査結果に従い、採捕時期は決められます。期間は原則として23日間以内となります。
餌 付 け
餌付けは主に女性の手で行われます。男性は二年魚の給餌やモジャコ採捕に出ているため、魚の赤ちゃんのお世話はどうしても女性となります。以前の餌は、栄養価の高いイカナゴと嗜好性の高いエビ(アミ)を混ぜたミンチが多かったです。近年では、完全配合飼料(ペレット)でも遜色がなくなってきました。餌付け用の嗜好性はより工夫も成されています。
餌付け時のミンチは、小骨が残らないように2~3回すった液状のものになっています。完全配合飼料(ペレット)で餌付けるときは、魚の大きさに応じて粉状のものから始まり成長とともに大きくしていきます。餌付け時は、朝の5時から日暮れまでずっと餌をやり続けます。餌付けが終わると、餌やりは1日5~6回になります。さらに成長に従って回数は減り、200gでは1日1回が多くなります。
一 年 魚
一年魚は成長するに従って、餌の摂取量が増大します。成長に伴い、餌の種類や生け簀の網も変わっていきます。マイワシが贅沢に採れた頃は、ビタミン剤を添加して与えられましたが、近年は次のようなものに変わってきました。
モイストペレット(MP)
あらゆる多獲魚と魚粉などを混合して粒にしたもの。
エクストルーダーペレット(EP)
エクストルーダーと呼ばれる造粒器で特殊に発泡させ、粒にしたもの。
シングルモイストペレット(SMP)
魚粉と水、油を混ぜて粒にしたもの。
ドライペレット(DP)
完全配合飼料。水分をほとんど含まず、カチカチの粒。
二年魚 〜 三年魚
「年魚」になると、病気にかかりにくくなり、養殖ブリはぐんぐん成長します。成長に伴い、餌の量も増加し、うっかりすると給餌過多あるいは過少になる恐れがあります。餌の量が増えると、酸素の消費量も多くなります。水中の酸素量は、空気中の30分の1しかなく、おまけに水温が高くなると酸素はとけ込みにくくなります。8~9月の小潮日には、一時的に酸素量が4mg/リットルを割ることもあります。
このようなときはタイミングを見て、餌止めをするなどの対策が必要です。もし低酸素のときに網が汚れて目詰まりをしていると、酸素欠乏による被害の恐れもあります。水温の高い時期は目が離せません。そして年末には、4kg以上のサイズとなり出荷開始を迎えます。
年末の目標サイズは5kgです。翌年の12月までをかけ、市場の要望に従って、周年での出荷が続けられます。
水揚げ・活け締め
東町漁協では早朝、安全が担保された出荷予定の生簀より取網で魚を水揚げ、即時、活け締めされます。
また、活け締めには東町漁協専用の統一された活け締め機を使って、確実に締め作業を行い、船槽の水氷にて即時冷却脱血されます。
陸揚げ・出荷
陸揚げおよび出荷は、東町漁協の薄井漁港内の荷捌き施設にて管内すべての魚が一元集荷されます。ここでサイズ、生産者ごとに仕分けられ、さらに冷却処理がなされます。